順番通り

母が
「順番通りになっているんだ」
「飛び越えてないからいいんだ」
と言った。
 
誰だっていつかは必ず死ぬ。
先に生きた者から順番に。
それはごく当然のことだと。
 
その言葉を聞いてからかな、
母の死を肯定的に受け入れるようになったの。
多分死にゆく本人から言われたのも大きな理由かな。
「死は当たり前で誰でも必ず通る道で悲しむことじゃない」って。
 
それからは
 母が死んでも悲しまないようにしよう
 笑顔で「ありがとう」って送り出すんだ
と思ってずっと過ごしてた。
 
母親が亡くなってまったく悲しまない、
なんてさすがに無理だろうと思ってた。
でも母が亡くなったあと、
まったく泣いてない。
悲しくもなく寂しくもなく。
一番悲しかったのは余命数ヶ月を言われた時。
一番寂しかったのは入院した時。
葬儀が終わった翌日、
母が亡くなって1週間経ってないのに
もう母が何ヶ月も前に亡くなったような感覚だった。
 
自分で自覚してなかったけれど
私は母との別れをきれいに消化出来てたみたい。
ずっと辛かったけれど、それは
「母が苦しんでいるのを見続けること」が辛かったんだ。
別れは、辛いものではない。
「順番通りになっているんだ」
母からその言葉を貰えてて良かった。


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